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2013年2月16日 (土)

表現の自由を奪う『原発フィクサー訴訟』」の報告記事

2013年1月25日の東京都内の荒川区立町屋文化センターで行われた、「表現の自由を奪う『原発フィクサー訴訟』」の報告記事を転載します。講師は、「原発フィクサー」訴訟で訴えられた田中稔さんです。

橋詰雅博の焦点 http://blogs.yahoo.co.jp/mintia1950/archive/2013/01/29

(ここから)

「原発フィクサー」と名誉棄損裁判で闘う友人ジャーナリストの今年初講演

       「平和憲法を守る荒川の会」で今年初の講演

私の友人でジャーナリスト(社会新報編集次長)の田中稔さんは「原発フィクサー」と複数のメディアで報じられてきた白川司郎氏と東京地裁で係争中だ。彼が週刊金曜日に掲載した記事を白川氏が名誉棄損だとして6700万円もの法外な損害賠償を請求したもので、「スラップ(口封じ)訴訟」と言われている。田中さんはあちこちの会合でこの訴訟がいかに理不尽なものかを訴えている。2013年の初の講演は25日(金)午後7時から荒川区町屋文化センターで行った。主催したのは平和憲法を守る荒川の会。「表現の自由を奪う『原発フィクサー訴訟』」がテーマだ。私のブログではこの訴訟を何回も取り上げているが、憲法で保障されている報道や表現の自由を奪われかねないだけに今回の田中講演もレポートする。過去の文章となるべく重複しないように文章を構成してみた。
 
 
   裁判対応という膨大な手間と費用を負わせて挫折・抑止させる
 田中さんはこう切り出した。
「皆さんはスラップと聞いても、ピンとこないでしょうから、スラップの説明から入ります。スラップ訴訟とは、政治的・経済的に優位に立つ企業や公共団体、個人が、市民の運動や言論表明に対し民事訴訟起こし、相手に『裁判対応』という膨大な手間と費用を負わせ、挫折、抑止させる手法です。こうしたことから〝恫喝〟〝口封じ〟〝嫌がらせ〟訴訟とも言われている。アメリカではカリフォルニア州を始め10数州でスラップ抑制法が成立している。日本には抑制法がなく、名誉棄損訴訟の濫訴が横行している。中国電力が原発建設反対運動を続ける山口県上関町住民を相手にスラップ訴訟を起こし、市民運動を屈服させようとしている。元巨人軍代表の清武英利氏を読売新聞が巨額な賠償額を要求し訴えたのは、内部告白を止めさせるためです。彼は応戦しているが、裁判費用も大変です。法外な金額を請求するスラップ訴訟はお金と権力を持っている側の常とう手段。訴えられた側は応戦しなければならない。私は知り合いの弁護士に相談したら請求額が6700万円だから着手金300万円が必要と言われた。結審するまでの裁判費用もかかる。一般の人は経済的に厳しい状況に追い込まれる。あきらめさせて和解に持ち込み〝もう2度たてをつきません〟と約束させるのが手口です」
 
 
 
   名誉棄損は明治政府が1875年に公布した讒謗律がルーツ
そもそも名誉棄損は1875年、明治政府が公布した讒謗律(ざんぼうりつ)がルーツだ。当時、自由民権運動が高まり、政府批判が強くなってきたので、それを規制するためつくられた統制令。政府の悪口を言ったら容赦をしないぞというわけだ。従って表現をした側が不利に陥るのがパターンで、名誉棄損訴訟では95%が敗北している。たとえて言うなら、100点満点のテストで95点をとらないとダメなのだ。無罪を勝ち取るにはとてもハードルが高い。そういうことを知っているので、大企業や巨大な宗教団体あるいは力がある者が個人や市民運動を相手にスラップ訴訟を仕掛けてくる。防ぐには抑制法をつくるしかないのだが、いまだに実現していない。なかなか法制化できないのは、政府与党には大企業や巨大宗教団体などがバックにいるからだ。
原発を構想から着工するまでには20年近くかかると言われている。この間には事前に土地を購入したやくざがごねるなどのトラブルが発生する。原発ムラを構成する族議員、電力業界、経産省を筆頭した官庁はいわばエリート集団だからトラブル解決に向けて直接介入しない。そこで相談役として登場するのが白川司郎氏のような人物だ。
賠償額5000万円支払い方法を答えてくれという内容証明書がきた
「彼は上手にトラブルを解決する。汚れ役がいないと計画は進まない。こうして族議員、官庁、電力会社を水面下で結びつけ、相談役的な役割を果たす。週刊金曜日から原稿依頼があったとき、白川氏は濫訴で有名だからきわどい記事は書けないので、〝ファクト以外は書かない、つまらない内容になってもいいですか〟と編集部に伝えました。公開されている登記簿、契約書などに基づき仕上げた記事は面白くもなんともない。訴えてこないだろうと思っていたら、記事が出て4カ月後に内容証明書が郵送されてきた。ヤメ検の弁護士はいきなり2週間以内にまず損害賠償金5000万円の支払い方法を答えてくださいと要求してきた。これには驚いた。弁護士の着手金が高いので、本人訴訟でやるかと考えていた矢先に、佐高信氏と週刊金曜日から弁護士を紹介されて、費用も週刊金曜日にお世話になっている」(田中さん)
 
     西松建設と水谷建設の両事件では交差点にいた人物
白川氏は西松建設外為法違反事件と水谷建設脱税事件の関連で東京地検特捜部から強制捜査を受けている。西松建設事件では西松建設が2008年、白川氏系企業に40億円を融資している。金融機関でもないサブコンがしかも不動産の担保なしで、信用貸しに近い形で小さな白川系の警備会社に対して融資したのだ。この40億円もの巨額な行き先に注目が集まった。もっとも西松建設事件の捜査が始まると、白川氏はあわてて不動産を担保として差し出し、その後、40億円は返済された。水谷建設事件では、福島第二原発から排出された残土処理事業(60億円)を一次下請けとして水谷建設が担当し、白川氏系企業が複数の孫請け業者のひとつとして参加。水谷建設は受注過程で浮かせた数億円を白川氏系企業などに流し、それがどこに流れたのかを追うメディアもあった。しかし、最終的に西松建設事件は小沢一郎代議士の「陸山会」事件に、水谷事件は当時の福島県の佐藤栄佐久知事による収賄事件(これは収賄額がゼロで有罪となった前代未聞の判決。実質、〝冤罪事件〟)にねじ曲げられた。とにかく白川氏は西松建設と水谷建設という2つのサブコンから事業を下請けとして受注し、この両事件のある意味では交差点にいた人物だ。
「白川氏は、見出しも名誉棄損に当たる主張している。その見出しは『「最後の大物フィクサー」白川司郎氏 東電原発利権に食い込む』です。見出しは編集部がつけるもので、執筆者はつけない。いろいろ筋の通らない理由を付けて、ヤメ検の土屋東一弁護士は強引に訴えた。彼は戦後最大の投資事件とされる安愚楽牧場事件の経営陣側の弁護を引き受けている。週刊金曜日や市民の支援がなかったらどうなっていたか。多分、白川氏に〝二度と書きません〟と謝り、屈服していたでしょう。個人の裁判だが、そのワクを超えて言論や表現の自由、市民運動の粘り強さを浮き彫りにさせる。裁判に負けるわけにはいかない。勝利して言論の自由を守り、原発報道を前進させたい」(田中さん)
 
日本と違い海外メディアは言論妨害事件として詳しく報道
ただ、日本の大手メディアは田中さんが被告になっている名誉棄損裁判を報じていない。ところが海外メディアは注目し取り上げている。フランスの「国境なき記者団」や米国の「ジャーナリスト保護委員会」は言論妨害事件として詳しく伝えている。外国人記者から見ると、スラップ訴訟によりジャーナリストが危うい立場にいることがショッキングなのだ。日本の大手メディアが報道しない理由は訴訟リスクが高いからである。
「報道したら、裁判沙汰になるかもしれないので、それを恐れる。提訴されると、裁判対応でデスクや記者は編集部から外れ、出世コースから滑り落ちる。そういう嘆かわしい現実がある。兄の文造氏がフジテレビ役員だっただけに白川氏はマスコミの盲点を知っているのではないか」(田中さん)
田中さんは長らく防衛利権を追及してきたが原発利権と重なるとことがあるという。両利権とも三菱重工業を筆頭した大手メーカーが深く関係しているからだ。ただ、原発利権には闇社会が沈殿している。これが防衛利権と違う点。だから相談役、仲介的な白川氏のような人物が必要になる。民主党から自民党政権に代わり、原発は再稼働に向けて走り出した。
「原発でメシを食べている利益享受者は多い。こういう人たちが再生可能エネルギーで食べていける場所をつくっていく。総選挙で脱原発を掲げた6つの政党は大敗したが、再生可能エネの何かの産業や事業を展開しなければならない」(田中さん)
 田中さんは28日(月)に第6回口頭弁論に出廷した。白川側の2人の弁護士は事前に裁判長に提出した準備書面を陳述せずに終わった。7回目の口頭弁論は3月25日(月)午後4時45分から東京地裁で行われる予定。作成した4回目の準備書面を田中さんが陳述する。
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