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2012年9月19日 (水)

「原発フィクサー」訴訟が米国のジャーナリスト保護委員会で紹介されました(記事日本語訳あり)

CPJ(米国のジャーナリスト保護委員会)のウェブサイトで「原発フィクサー」訴訟が紹介されました。1981年に発足し、世界の言論弾圧を監視する活動を展開している団体です。

Press Freedom News and Views
Japan's independent journalism on trial with Tanaka
http://cpj.org/blog/2012/09/japans-independent-journalism-on-trial-with-tanaka.php

田中稔氏は8月31日、日本外国特派員協会で記者会見を行ない、原発スラップ(SLAPP=恫喝訴訟、口封じ訴訟)について「憲法が保障する報道と言論の自由を奪う暴挙」と厳しく批判した。この会見の模様を米国の民間団体「ジャーナリスト保護委員会」(CPJ)が詳しく報じた。CPJは1981年に米国で発足し、世界の言論弾圧を監視する活動を展開し、多くの実績を有する民間団体である。以下、その記事の和訳文を転載する。

田中裁判に見る日本の独立系ジャーナリズム

日本では、記者を黙らせるのに野球のバットはいらない。企業や大物ブローカー、政治家たちがよく使う手口は、裁判という小槌である。
今年5月、日本の週刊誌『週刊金曜日』に執筆した記者が日本の原子力関連事業を手掛ける有力者の一人から、請求総額6700万円もの訴訟を起こされた。原告の説明に使われた用語が名誉毀損に当たるというのが提訴の趣旨である。
今回の訴訟がこれまでのものと一線を画すのは、記事を掲載した雑誌社を訴えるのではなく、執筆したジャーナリスト個人のみを訴えたことにある。明らかにこれは記者個人を標的としたものであり、フリーランスのジャーナリストたちとその記事を掲載する雑誌(定期刊行物)社との間に利害の亀裂を作り出そうと企図したものである。
日本の大手新聞社などマスコミで働く記者は、通常、日本の記者クラブに所属する。そのことにより、政府諸機関への取材が可能となり、一定の保護も受ける。読売新聞などの新聞は、何百万人もの読者への影響力を持ち、また今回のような訴訟から自分たちの記者を守るだけの潤沢な資金を持つ。だが、独立系ジャーナリストにはそうしたものはない。
訴えられたのは、田中稔氏(52歳)。調査報道を手掛けてきた田中氏は長年、日本の原発利権の複合体について取材してきた。この複合体は「原子力ムラ」として知られているが、電力会社、政治家、広告会社、官僚、マスコミ、労組などによって構成されている。こうした相互の深い癒着に触れている田中氏の記事が2011年12月16日号の『週刊金曜日』に掲載された。(※田中氏は『社会新報』という政党紙の編集部に在籍するが、本件記事は「ジャーナリスト」の立場で執筆)
田中稔氏が記事で使用している資料は、全て公開された登記簿謄本や契約書、信用調査会社調査書などである。原告である白川司郎氏は原発警備会社ニューテックの会長を務めており、今年3月、田中氏に対して訴訟を起こした。田中氏の記事で白川氏の役割を原発「フィクサー」と表現したことが侮辱的であり名誉毀損だと白川氏は提訴した。日本では「フィクサー」という用語は、怪しげな手段をしばしば講じて利益を生む商取引の手配者を意味する。マイナスの意味合いを内包するが、一般の日常語では「仲介者」や「オーガナイザー」といった意味合いでも使われ、様々な使われ方をする。
原告の田中氏に対する請求総額は、損額賠償と弁護士への着手金等も含め6700万円という法外な額。このように、記者一個人を標的にし、また原告のほうが金銭的にも政治的にも絶大な力を有しているという事実からして、この訴訟はスラップ(SLAPP=恫喝訴訟、口封じ訴訟)であると田中氏および『週刊金曜日』社長の北村肇氏は指摘する。 
本訴訟は現在、口頭弁論がすでに3回開かれ、判決は来年になる見込み。
東京地裁での口頭弁論を間近に控えた田中氏は次のように語った。「日本の大手報道機関がいまだにこの件を報道していないのは、おそらく訴訟リスクが高いからではないか。」
支援が早いペースで広がらない理由のひとつには、記者クラブ制度の存在も挙げられるのではないかと田中氏は指摘する。
「記者クラブ制度を構成する大手メディアは、情報を独占したいがために、フリーランスのライターを快く思わない。独立系ジャーナリズムを支援しようという気持ちはあまりない」
オフレコで、日本の大手テレビ局の記者は次のように語り、このことを裏付ける。「この訴訟について書いても何も良いことはない。原告は潤沢な資金があり、さらにいやがらせの訴訟を起こせる」
しかし、今では田中氏を支援する人々の数は増え続けている。田中氏個人の問題ではなく、報道と言論の自由という重大な問題にかかわるからだ。多くの記者が、スラップを制限ないし抑制する法律があってしかるべきだと考えている。
そうした法律が制定されるまでは、日本では独立系のジャーナリストでいることは極めてリスクが高い。とりわけ、ペンネームやイニシャルではなく実名で記事を書く者にとってはそうである。すでに、いくつかの週刊誌ではスキャンダルの主要関連人物の実名は使わない一方で、訴訟リスクの可能性の低い人物は実名を出す、とまでいわれている。典型例が2008年9月発行の『週刊新潮』の記事だ。日本の有名歌手やセレブが何名か出席した暴力団山口組後藤組の後藤忠正組長の贅沢な誕生日パーティーについて書かれているが、出席したセレブの名前は記載されても、組長の名前は伏せている。
田中氏へのスラップがもたらす弊害は膨大になりうる。しかし、残念ながら、日本で主流のマスメディアが考慮するのはこの裁判の報道による短期的コストの方で、日本のジャーナリズムが被る長期的コストにはほとんど意識が向かない。白川氏の関連企業からコメントを求めたが、返事はもらうことができなかった。
(執筆者=ナタリー郷子、ジェイク・アデルスタイン) 

※ナタリー郷子は時事通信社ジュネーブの特派員アシスタントを務め、国連を担当した。現在はAFP, The Independent, Jane's Intelligence Review 、the Atlantic Wireに記事を書いている。ジェイク・アデルスタインは、元読売新聞社記者で調査報道を手掛け、日本の闇社会を鋭くえぐった『トーキョー・バイス』 の著者。近年はAtlanticWire およびThe Daily Beast.に記事を寄せている。

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